FC今治 VSロアッソ熊本レビュー 大本の復活が後半戦の巻き返しに繋がることを信じてる

試合概要

  • 日時:2025年8月9日(土)19:03キックオフ
  • 場所:アシックス里山スタジアム(今治)J.LEAGUE
  • 結果:FC今治 3-2 ロアッソ熊本(前半2-0/後半1-2)トランスファーマーケットFootball LAB
  • 入場者数・気候:4,993人、気温24.9℃、湿度89%J.LEAGUE
  • スタッツ:熊本はシュート7→10本(枠内は2→4)、今治は9→11本(枠内5→6)。熊本のxGは0.49→1.27、今治は1.32→1.57dメニュースポーツ

1. 前半:支配からのギャップ

熊本は前半、ポゼッションを握ってはいたが、「手応え」には至っていない時間帯が続いた。相手の今治は守備を堅めながら、カウンターとサイド展開を武器に構え、見事に先制のチャンスをつかむ。

**26分、山田貴文がスルーパスから脱出しての先制ゴール。**これは速い判断と縦の意識。熊本の守備ラインは少し戻りが遅れ、ほんの0.2秒のズレが命取りに。

さらに32分には今治が追加点。梅木のクロスから混戦となり、ディニスの動きにディフェンスがついていけず、最後にV・ディニスが押し込む形。熊本のビルドアップの精度がひとつ欠けた瞬間だった。

この“差し込まれる間”の修正は、戦術以上に「集中の再構築力」が求められる。熊本には課題のある前半だった。


2. 後半開始:瞬間の情熱を呼び覚ました古長谷

後半3分、熊本が反撃の狼煙を上げる。袴田のスルーパスに古長谷が反応し、迷いなく左足を振る。ボールはゴール右下に突き刺さる。今の古長谷であれば相手が2人ついてきても切り返しやシュートフェイントを交えながら決めきれる能力がある。そんなシーンでした。

熊本の攻撃意思が形になったシーンであり、後半勢いに乗るには十分な一撃だった。


3. 再度突き放す今治、3失点はさすがに厳しい

だが今治も黙ってはいられない。後半16分、今治の弓場がヘディングで3点目。「空中戦で勝って、流れを完全に支配する」という今治の狙いがこの瞬間に完成した。熊本のDFラインの視線が一瞬下がったのを見逃さなかった冷静さと勝負強さが光る。今治の選手たちの素早い判断からの一発が余りにも重たくのしかかってしまう。


4. 最終盤の半代ゴール──最後の意地

そして試合は終盤へ。後半43分、大本のクロスを受けた半代が反応し、詰め寄ってゴール。気迫と勢いで導いた1点となった。

ただ、その後は単純クロスやロングボールで時間を浪費させられた。勝ち切るには失点を防ぐことなのだが今の熊本のスタイルだとどうしてもやられるシーンが増えてしまう気がする。


5. 数字が語る優勢と決定力の乖離

指標今治熊本
シュート本数11本(枠内6)10本(枠内4)
xG(期待値)1.571.27
ポゼッション前半では熊本60%攻めで上回るもフィニッシュ力薄しdメニュースポーツ

数字上は雪崩ではないが、「質」が明暗を分けた光景だったように感じる。


6. 勝ち切る“ゲームマネジメント力”が今の差

この試合でロアッソ熊本に欠けていたのは、技術やスキル以上に「試合の舵取り力」だ。プレーが荒れた瞬間の立て直し、失点後の視点切り替え、交代後のリズム制御──こういった部分はピッチで目に見えづらくとも確かに作り込むべきプロセスがある。

例えば、後半開始に交代策を打って仕切り直すとか、3-1になった時点で守備構想を明確にする采配。そういった「引き算の勇気」が少しだけ足りなかったようにも思える。

7. 大本の復帰が後半戦の最大のカギ

そして、熊本にとって後半戦を占う最大のトピックは大本祐槻の怪我明けだ。
彼がピッチに戻ってくることで、右サイドの推進力と攻守のスイッチングは大きく改善されるはずだ。特に大本は攻撃時の縦突破だけでなく、守備時に相手の起点を潰すタイミングが抜群。これがチーム全体の守備強度を引き上げ、カウンターの発動スピードも格段に上がる。

今季前半戦は怪我による離脱が長く、右サイドの構築がやや流動的になっていた。だが、大本が戻れば古長谷や塩浜との連動も強化され、両サイドからの厚みある攻撃が可能になる。「大本が帰ってきた熊本」は、まるで別チームのような迫力を持つと言っても過言ではない。

後半戦の浮上を狙うなら、大本のコンディション管理と起用法が鍵を握るだろう。

8. チームへ

この試合の内容は「惜しい」で終わらせてはいけない。熊本は持てる武器を持っている。古長谷は確かに火をつける存在だったし、半代のゴールは息吹の証だ。あとは“どう最後まで勝ちに行くか”の覚悟と、戦術構成を磨くだけだ。

アウェイ7試合未勝利という数字は重い。しかし、敗戦の中にも「ゲームの手応え」は確実にあった。次こそ、“踏ん張る力”を見せてほしい。

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